
自分の祖父母、夫の祖父母の誰かが存命の場合、両親からは「まだその話はちょっと・・・」と言われる。両親だって70代だから色々気をもむだろうけど、目の前の祖父母の介護をしながら、祖父母の亡くなった後の話をすることははばかられるからだ。
私は母親とそういった話はしている。でも、実際にモノを動かすとなると祖母は「私が死ぬまではさわらないでほしい」と言ったそうだ。ものわかりがよさそうな口ぶりだが、悪党もびっくりするような肝がすわっている自分の想いを押し通す人だった。
その、ものすごく自己中な祖母を自宅で看取るまで介護をした母には頭が下がる。祖父も自宅で看取ったからなおさら。母は祖父母からきつくあたられて嫁に来てもつらいことばっかりだったろうに、「そうするものだから」と息子や娘が嫌がることも引き受けていた。
なのに、相続になると「嫁には一銭も渡したくない」と蚊帳の外。介護に祖父母のお金は一切使ってほしくないとも言われ、口はだすけど手もお金もださない、典型的な長男の嫁への押し付けだった。
それを見ていた私だが、私の場合は一人っ子なので両親の介護は私。ただ、夫が長男のため夫の両親も私。夫の叔母がシングルのため、私。なんと、私の肩には5人もの介護が乗っかってくる予定だ。そして、子供たちは障害児。娘はすでに介護状態。
もめる相手もいないけれど、いや、義弟が結婚したらもめるかも・・・。
とういうことで、どんなものかと興味本位で手に取ってみた。今のところ、もめる相手も頼る相手もいそうにないんだけど・・・。
育児はもちろん大変であるが介護は終わりが見えない
これはね・・・。刺さった。育児は成長を経て、手がかからなくなると。
いやいや、我が家はずっと手がかかるし、なんなら成長するほど手がかかる。そして、親の介護は終わりがあるが、子の介護は終わりがない。順当にいくと、自分が先だからだ。
本のどこかに「経験者にしかわからない」とあるが、本当にそう思う。
育児が介護の場合もあるのだ。あ、だから終わりが見えないということか。納得。
介護は少なめに、相続は多めに
これは、実家で実際にあったことだから身にしみてわかる。祖父も祖母も。
なにが、兄弟姉妹で協力して、だ。結局のところ、お金も決断も実父だった。口はだすけど、お金も手もださない。もともときつい叔母、伯母だったけど、強烈だった。父、幼少期もいろんな意味で大変だったろうな・・・。
いろいろ飲み込んで、父も母も全部かぶった。介護の費用も、医療費も、生活費も一銭ももらわずに全て両親がまかなった。そして、祖父母の株や現金、着物などの資産は伯母、叔母が持って行ってた。父へは自宅、山、田んぼ、畑など、お金にしにくいもの。田舎は自分の都合で売り払うことは難しい。
一人で抱え込まないような介護をしましょう
ほんと、理想論。結局、キーパーソンに指名されたら全部の責任を負わされることになる。夜、アルコールを飲んでて急病で車の運転ができないとかなったらものすごく糾弾されそうだ。常にオンタイム。本当にメンタルが擦り切れる思い。
でも、何も起こらない場合は「何もしていない」とみなされて、擦り切れたメンタルを気遣ってくれる人は皆無。でも、何かがおこれば「ちゃんとしていなかったのではないか」と勘繰られる。本当に割に合わない。義理の関係だとさらにこじれる。
お風呂だってゆっくり入れないんだよ。いつ呼ばれるかわからないし、呼ばれたら緊急だし。
介護を担うものは追いつめられる
本当にそう。お金も手も出さない人からどんどん追いつめられる。介護はお金では解決できないことが山積みなんだ。経験したことがない人はオンタイムで待機することがどれだけ大変かわからない。だって、突然の電話にもすべて「いますぐ行きます」と応えられるようにしておかなければならないからだ。
「今無理」とか「電話にでられなかった」なんて許されないからだ。
相手は責めているわけではないというだろう、でも、事情とか状況とかを問い詰めて事情聴取のようにされることが、「責めているわけではない」と言われてもメンタルがおかしくなるのは想像に難くない。経験者であれば・・・。
自分はできないのに、人にはやって当たり前とナチュラルに思うのは本当にやめてほしい。
介護を頑張ったものが、横領を疑われて自分の預金記録をオープンにされる
これもそうだ。一切お金もださないのに、生活費や介護費用、医療費を本人にだしてもらうと糾弾されるなんておかしい!本人が「使っていいよ」といってもダメなんだから、関わらないのが一番だと思っても仕方がないと思う。全部別にしてレシートをとっておくといいと簡単に言われるが、スーパーに買い出しに行って、二つのカゴにそれぞれの買い物をしてそれぞれの会計をすることがどれだけめんどくさいことかわかるだろうか。
介護する家族はボランティア扱い
ボランティアはまだ交通費がでることがある。介護は全てキーパーソンが持ち出し。なんなら、本にも書いてあったけど、通夜、葬式、大夜、法事、墓・・・諸々全て持ち出し。それ以降の寺とのお付き合いとか法事も持ち出し。
せめて兄弟が力を合わせて親を弔っていけるならいい。でも、お金と手間を一人に押し付けて、外野が口だけだすというのは本当にいただけない。
私は一人っ子だから全部一人で背負わないといけないけど、まだ口をだしてくる兄弟姉妹がいないだけ腹をくくれていいのか・・・。それも、寂しいな。
おわりに
想像はついていたけれど、現実を突きつけられてやさぐれそうになった。これを読めば、親の介護からの上手な逃げ方がわかるだろう。実際に祖父母を看取った母の様子をみていると、本当に大変で、70歳を超えたこともあり「倒れないか」「大丈夫だろうか」と心配した。
それでも「後悔はない」とすっきりした顔をしている。思い残すこともないし、全力でやり切ったから、これからは真っすぐに前を向いて後ろめたいこともなく生きていける、と。
私はこれから直面するわけだけど、義理の家族の時は、レシートとかメモとかをきっちりしておかないと、何が起こるかわからないなと気を付けようと思った。だって、私にはやらないという選択肢はないのだから。

シビアな現実を知っておこうと思われる方は是非